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【レビュー・本】エンデュアランス号漂流記

隊員募集!!


至難の旅

給与僅か

極寒、暗黒の長い日々

危険絶え間なし

生還の保証:なし


報酬:栄誉




1914年12月,

この広告のもとに集まった男たちの中から選りすぐられた28人の隊員とともに、

探検家アーネスト・シャクルトン船長は南極大陸横断を目指して出航

船の名前はシャクルトン船長の家訓でもある”エンデュアランス”(不屈の精神)号


順調な後悔を続けるが南極大陸まで320kmの点で氷塊に阻まれ、身動きが取れなくなる

10ヶ月ほど氷塊に囲まれたまま漂流を続けたが、氷の圧迫でエンデュアランス号が沈没

流氷上でのキャンプ生活から荒れ狂う海上をカヌーでの走破、絶海の孤島でのサバイバル


極寒、空腹、負傷、病気、そして絶え間なく押し寄せる危険と隣り合わせの生活

絶望的な17ヵ月のサバイバルの果てに奇跡的に隊員全員が帰還



という、嘘のようなホントにあった話



「大陸横断」という当初の目的こそ果たせなかったものの、

絶望的状況下から隊員全員を無事に帰還させたシャクルトン船長の、

的確な判断、強いリーダーシップ、

そしてなによりも船の名前でもある「不屈の精神」が高く評価され、

今日まで読み継がれている冒険譚




なのですが、

僕が読んでみて一番感動したのは隊員全員が「人間らしさ」を失わずに帰還したという点


食料は野生のアザラシやペンギン、果ては凍てつく海に腕を突っ込んで貝を集め、

食べられるものは何でも食べ

氷を溶かして飲み水をつくる燃料さえケチらねばならず、

氷点下にもかかわらず温かい飲み物は一日一回のみ

カヌーをひっくり返して作った小屋はすきま風が吹きこみ、

凍りついた寝袋は人の体温で温まるとグショグショに

風呂にもはいれず着替えもできず、

ボロボロの防寒服は一年以上着っぱなし、髪も髭も伸び放題


という、原始人以下の生活


文明人にはとても耐えられないような状況の中で

彼らは、冗談を飛ばし合い、お互いを励まし合い

そしてクリスマスなどの祝日には乏しい食事をかき集めて皆でお祝いをする


そんな人間らしさ、文明人としてのプライドを彼らは最後まで持ち続けた


奇しくも第一次世界大戦開戦と時を同じく敢行されたこの冒険ですが、

戦争から帰ったはいいが、戦争体験からくる精神障害で廃人同然という帰還兵が続出する中、

同じく極限状態から帰還した彼らが正気を保ち続けた事実は

それこそがこの冒険で最も評価されるべき部分ではないかとさえ思います

(シャクルトン含めエンデュアランス隊員の中には生還後、

社会復帰どころか志願兵として戦争に参加している者さえいます)





読み終わってみて、ふと頭をよぎったのは大好きな漫画「STEEL BALL RUN」に出てくるセリフ


(スティール・ボール・ラン・レース主催者スティーブン・スティールがレース開会式で記者に

「前代未聞の大規模レース、完走者が一人もいなかったら、つまりレースがもし失敗したら、

あなたはどう責任をとるおつもりですか?」

という質問に対して)


「失敗というのは………… いいかよく聞けッ!

真の『失敗』とはッ!

開拓の心を忘れ!

困難に挑戦する事に無縁のところにいる者たちの事をいうのだッ!

このレースに失敗なんか存在しないッ!

存在するのは冒険者だけだッ!」







「南極横断」という目的こそ達成されなかったものの、

栄誉と冒険を求め、

極限の状況から人間としての尊厳を失わずに帰還したシャクルトン船長と彼の部下たちは

「失敗者」などでは決してなく、

スティーブン・スティール氏のいう「冒険者」そのものです













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  1. 2012/04/18(水) 21:39:09|
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